6月8日以降、地域の現場に足を運びながら、暮らしに関わるさまざまな課題について考える機会がありました。

ハラスメントに関して

窓口や現場で働く方への言葉について

先日、所用があり市役所へ伺いました。私と妻はそれぞれ別の部署に用事があり、別々に動いていたのですが、妻が見かけた場面で、市役所の職員さんに対して、利用者の方がかなり強い口調で何かを伝えていたそうです。詳しい事情は分かりません。

行政の窓口を利用する中で、不安や不満を感じることはあると思います。制度が分かりにくいこともありますし、思うように話が進まず、もどかしい気持ちになることもあるかもしれません。ただ、第三者から見ると「そこまで強く言わなくてもよいのではないか」と感じるような場面だったようで、妻も「対応されていた職員さんが気の毒だった」と話していました。

また別日に、子どもの体調不良でクリニックを受診した際にも、受付の事務の方に対して、強い語気で言葉を向けている方を見かけました。もちろん、医療機関を受診する方も不安を抱えています。子どもの体調が悪い、待ち時間が長い、説明が分かりにくい、思っていた対応と違う。そうした不満や不安があること自体は理解できます。伝えるべきことを伝えることは大切です。しかし、相手を傷つけるような言い方をしてよい理由にはなりません。私はこれまで、調剤薬局で長く仕事をしてきました。薬局の窓口でも、患者さんやご家族の不安、不満、怒りに向き合う場面は少なくありませんでした。薬が足りない、待ち時間が長い、医師の説明と違う、会計が思っていた金額と違う、体調が悪く余裕がない等です。そうした場面で、患者さん側にも事情があることはよく分かります。医療や行政の窓口では、利用する側が困っているからこそ来ていることも多いです。だからこそ、窓口で働く側には丁寧な対応が求められます。

一方で、働く側も人間です。

市役所の職員さんも、医療機関の受付の方も、薬局の事務さんも、介護や福祉の現場で働く方も、地域を支えている大切な人たちです。強い言葉を毎日のように受け続ければ、心はすり減ります
「仕事だから仕方ない」
「窓口だから我慢するしかない」
「利用者の方が強い立場だから黙って受け止めるしかない」

そういう社会であってよいのか、私は疑問に感じています。

私は昭和の終わり頃に生まれ、平成を過ごし、令和になってからも医療の現場で働いてきました。その中で、社会全体のハラスメントに対する考え方は大きく変わってきたと感じています。昔は「仕方ない」「そういうもの」「我慢するもの」とされていた言葉や態度も、今は見直される時代になっています。

職場内のパワハラやセクハラについては、以前よりも問題として認識されるようになってきました。しかし、窓口や接客、医療、介護、福祉、教育など、利用者や市民と向き合う現場で起きるハラスメントについては、まだ十分に可視化されていない部分があるのではないでしょうか。

困っている人の声を聞くことは大切です。
行政や医療機関が、利用者の声に耳を傾けることも当然必要です。しかし、それは現場で働く人が理不尽な言葉に耐え続けることと同じではありません。理不尽に、誰かを傷つけてはいけないと思います。

私が今すぐに大きなことができるわけではありません。
ただ、この問題については、もっと多くの声を聞きたいと思っています。

「窓口でこういう対応を受けてつらかった」
「現場ではこういうことが起きている」
「利用者側として、こういう時に不安や怒りを感じた」
「働く側として、こういう言葉が負担になっている」

行政、医療、介護、福祉、接客、教育など、立場を問わず、もし差し支えなければ声を聞かせてください。

個人名や施設名が分からない形で大丈夫です。ハラスメントのない社会を目指したい。
そのために、まずは現場で起きていることを知るところから始めたいと思います。

子どもたちの居場所づくり

子どもたちの居場所づくりに取り組まれている活動を見学させていただきました。

四日市市では、「令和8年度 四日市市こどもの居場所づくり支援事業費補助金」の募集が行われていました。これは、子どもたちが安心して立ち寄れる食事や居場所の提供、支援が必要な子どもを早期に発見し、適切な支援機関につなげる仕組みづくりを支援するものです。

実際に、宿題や勉強を見る学習支援の場を見学し、自分の息子も参加させていただきました。子どもたちが多く集まり、学習の場であると同時に、安心して過ごせる居場所として機能している様子を見て、こうした取り組みの重要性を実感しました。

一つの場所だけでなく、地域の中に複数の居場所があることで、子どもたち自身が自分に合った場所を選びやすくなります。子どもが気軽に参加できる場所が増えるほど、子どもの居場所づくりはより実効性のあるものになっていくのではないかと感じました。素晴らしい取り組みでしたので今後も勉強させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

薬学教育について

日本薬学教育学会 薬学教育カリキュラム検討委員会主催の「第4回ワークショップ」に参加させていただきました。

肩書きに関係なく、それぞれの立場から率直に意見を出せる貴重な機会でした。私はこれまで薬局で学生実習を受け入れてきた経験があり、薬局現場で感じてきたこと、薬剤師教育に対して現場から伝えたいことを少しでも届けたいと思い、参加しました。各ワークショップでは、非常に熱のこもった建設的な議論が行われ、参加して本当に良かったと感じています。

一方で、薬局薬剤師の参加が少なかったことには課題も感じました。薬局の現場で働く薬剤師が、「これからの薬剤師にどのような力を身につけてほしいのか」「大学教育にどのような視点を取り入れてほしいのか」を直接伝えることは、とても重要だと思います。

調剤薬局の現場には、薬剤師教育に対して熱い思いを持っている先生方がたくさんいらっしゃいます。今後、こうした場に薬局現場の先生方がさらに参加されることで、薬学教育はより現場に即したものになっていくのではないかと感じました。

子どもの居場所、ハラスメントのない社会、薬学教育。

一見すると別々のテーマに見えますが、どれも「現場の声を聞くこと」から始まる課題だと思います。

これからも、机上の考えだけで判断するのではなく、実際に現場を見て、話を聞き、四日市の暮らしに必要なことを一つひとつ考えていきます。